沖縄紀行

 沖縄も何度か観光や仕事で旅をしている。那覇空港に降り立つと、明らかに本土(と沖縄の人は言う)と違うにおい、台湾や東南アジアの空港で感じるのと同じ空気が漂っている。
 前はここからタクシーに乗ったりバスに乗ったりしていたが、今は「ゆいレール」というモノレールが空港から那覇市内に向けて走っている。マッチ箱のような2両建ての電車で、少し椅子があるのみで、立っている乗客が多い。
 「ゆいレール」は那覇市内の中心部を通り首里城までいくので、市内観光にも使える。実は那覇市内は大変車が渋滞するので、車での移動は時間が読みにくいのである。とくに首里近辺は混むので「ゆいレール」利用をおすすめする。ちなみにタクシーも、本土に比べるとかなり安い。

 首里城は、有名な「守礼之邦」と書かれた守礼門をくぐって、中に王宮が再現されている。一通り見れば1時間で、琉球王国のことがだいたい分かるようになっている。門の近くには王宮衣装を着たきれいな女性がたむろしているが、一緒に写真を撮ると結構なチップを要求されるのでご注意。

 那覇市内をゆっくり観光されると言うことはあまりないであろう。那覇市内では国際通り近辺の有名な牧志公設市場をはじめとして、小さな店がたくさん並んでいる市場街がある。公設市場へ行けば、ここが本土とだいぶん違うと言うことを実感できるであろう。むしろ東南アジアの市場の雰囲気によく似ているのである。もちろんおみやげ物屋もたくさんあり、サーターアンダギー(丸っこいドーナツのような揚げ菓子)も普通の値段で売っている。
 あとの見所は市内に点在している。港(とまりん)の近くとか、である。歩くのを意に介さない向きには歩いても大丈夫だが、そうでなければタクシー利用が楽であろう。私は秋冬春しか行ったことがないが、夏の沖縄で昼間に歩くのはかなりつらいようである。

 沖縄料理は豚中心と言われ、実際そのとおりである。典型的な沖縄料理はなかなか脂っこくて甘辛い。それから沖縄そば。「すば」と言うようだがこれはなかなか美味しい。
 もう一つ見逃せないのがステーキである。これは米軍がもたらした食文化である。2,000〜3,000円くらいで本格鉄板焼きのパフォーマンス付きのステーキが食べられる。ただしお肉は国産ではないので固い(美味しいのを食べたい人は石垣島へ行ってください。石垣牛は美味しいですよ)。デザートでブルーシールアイスクリームを食べると、ほぼ沖縄物を食べた、という感じであろう。
 ちなみに沖縄でお酒といえば泡盛で、いろいろな銘柄がある。泡盛は水割りが正式な飲み方だそうである。ただし、沖縄では本土ブームで、日本食、日本酒(地酒)が飲める「日本風居酒屋」が若い人には繁盛している。

 那覇市内でとまる場合、普通のビジネスホテルでいいなら3,000円台で宿泊できる。もちろん「ナハテラス」など高いホテルもある。郊外(宜野湾市)まで行けば、国際会議場の隣に全日空系の「ラグナガーデンホテル」があり、ビジネス客にもよく利用されている。変な話だがこのホテルから山側を見れば、宜野湾市の中心部に陣取っている普天間基地が大きく見渡せる。
 余談だが、那覇市内から宜野湾方面に向かうと、浦添市内だが左手に大きな「宮脇書店」がある。これは香川の宮脇と同じものだが、だいぶん古くからあるそうで、タクシーの運転手さんに「これ香川県が本店です」というとびっくりされたことを覚えている。宮脇書店はだいぶん早くから県外それもこんなに遠いところに進出していたのだなあ、と感心したものである。

            ***

 沖縄観光と言えば海とリゾートである。私はマリンスポーツはやらないので、海の遊びの方は詳しいことは分からない。リゾートに関しては、だいたいが東シナ海側にあることが多い。私は沖縄本島は中部までしか行っていないので、それ以北のことは分からないが、恩納に関して言えば、さすがにしっかり開発しただけあり、必要十分なリゾートライフが楽しめる。なお、恩納からちと飲みたいと言うことになると、コザ(沖縄市)まで出かけることになる(沖縄の飲み屋は夜が遅く、せいぜい20〜21時くらいから始まり朝まで飲める)。

 那覇市内からは、リゾート地にはバスやタクシーで行くことになるが、タクシーだと結構料金がかかるので、観光と組み合わせた方がいいだろう。恩納をはじめ、主要なリゾート地へ行くときには、普天間、嘉手納といった米軍の基地を眺めながら行くことになる。沖縄が基地の島であると言うことを十二分に感じさせられる時間である。途中、北谷(ちゃたん)のアメリカンビレッジあたりでも、米国人がたくさん買い物をしている。そういえば北谷は嘉手納が近い。

 ちなみに、沖縄は車の運転はとても荒い。その上「Y」ナンバーがいる。「Y」ナンバーは米軍関係者の車で、事故るとあて逃げされ基地に逃げ込まれてしまい、あてられ損になるので、できれば近寄らない方がいいと言われた。レンタカーを借りる人は注意が必要である。私は旅先でよくレンタカーを借りるのだが、那覇市内の大渋滞もあるし、タクシーも高くないので、沖縄本島に関しては、私はよほど必要がなければ借りたいと思わない。

 リゾートとは言い難いが、ひなびていてかつ海がきれいなのは、昔から人が訪れている南部地方である。ここはゆうめいなひめゆりの丘があって、大きな鍾乳洞(玉泉洞)であるとか(この洞の上に、「沖縄ワールド」というテーマパークがあり、短時間で沖縄体験ができる)、琉球踊りの「琉球舞踊館 うどい(発音は”うづい”に近い)」などがあり、海岸にはグラスボートが点在し気軽に珊瑚礁鑑賞ができる。
 1泊2日とかで時間がない人は、那覇市内と南部観光をすればいいと思う。

 北部(名護あたり)はまた、人の手の着いていないよさがあると言われる。行ったことがないので実際がどうかというのはコメントしにくい。でも、一度行ってみたいと思っている。
 離島については、石垣、西表を、また別の機会にご紹介したい。

(坂出市医師会雑誌に寄稿 2007年)