聴覚言語障害治療教育キャンプ趣意書

−第21回詫間キャンプ開催にあたって−




 ことばの発達が、子どもの精神や身体のありように深い影響を与えることは言うま

でもありません。しかし、ことばを憶えたり話したりすることは、多くの人々にとっ

て自明のことであると考えられやすいためにことばの発達に障害をもつ子どもたちの

ことが、社会の中で真剣に考えられることが少なかったように思われます。しかし、

すべての障害児のもつ問題が、社会の中で関心をもたれるようになり、いろいろな努

力がなされてきています。特に、ことばの発達の遅れに対する治療教育的方法の進歩

はすばらしいものがあり、多くの言語療法士が日夜研讃を積んでいます。また、制度

・施設の充実も少しずつ歩みを早めています。

 このようなことを背景として、私たちは、ことばに障害をもつ子どもたちのことに

ついて研究会をもつと共に、治療教育キャンプを毎年開いてきました。日頃ともすれ

ば引っこみ勝ちになったり、集団生活を経験することの少ない子どもたち、また、子

どもたちと共に障害の克服を願い努力しているお母さんたち、そしてボランティアと

専門の先生たち。この四者が一緒になって自然の中で体験する生活は、それぞれの側

に大きな影響を与えてきたようです。私たちは今年もまた、これまでのキャンプの体

験を踏まえて、子どもたちやお母さんたちと共に、人間的な意味に充ちたキャンプを

もちたいと念願しております。私たちの営為は、子どもたちやお母さんたちの営為に

比すれば、小さいものに過ぎませんが、このキャンプを豊かなものとしてゆきたいと

考えております。こうした願いを込めて下記のことを目標とします。



 1、キャンプ生活の楽しさを通して子どもたちが

   お互いに交流し、生活経験を豊かにする。



 2、両親がお互いに日頃の悩みを話し合い、問題

   を出し合ってゆき、専門の先生と交流する機

   会をもつ場とする。



 3、専門の先生との話し合いの中から、家庭での

   生活に役立つことを勉強する機会とする。



 4、社会の中で、学校の中で障害をもった子ども

   たちが人間として豊かな発達をするためには、

   どのような努力が必要なのかを考え合う場と

   する。




 以上のことをご理解いただき、ご支援下さるようお願い申し上げます。

 



 1996年6月1日

                     香川聴覚言語障害治療教育研究会

                      会 長  中 園 康 夫

                         (吉備国際大学教授)

                         (前  四国学院大学学長)



                     香川県言語障害児をもつ親の会   

                      会 長  小 林 昌 彦       




 
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