身近な病気「結核」 インフォメーション
保健所での結核相談に関する資料です(禁引用・転載)
Copyright (C) 福永一郎 1995
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■ 丸亀保健所管内(丸亀市,多度津町)で,平成6年の1年間で,結核にかかった人
は54人(2,000人に1人),平成6年末で,結核の治療をしている人は106人
(1,000人に1人)です。
■ 結核は「うつる病気」ですが,結核がうつった(感染した)人で実際に発病する人
はごく一部分です。結核に一度感染すると,結核菌を一生持ち続けますが,普段は冬眠
しているわけで,全く健康ですしもちろん他人にうつすこともありません。
■ 昭和20年代くらいまでは,ほぼ100%結核に感染したもの(「自然陽転(結核
菌に感染したことを示す)」ということばを聞いたことがあるでしょう)ですが,結核
対策が進んだ現在では,結核に感染している人(推定)は,日本人の28%
(3,500万人)といわれています。
■ 年齢別でみると,13歳の1%,30歳の10%,65歳の65%が,結核菌を
もっています。
■ 結核は,結核に感染した人から,年0.12%の割合で発病します。従って,結核
に感染すると,一生のうち発病する確率は数%ということになります(これらの発病す
る確率は,BCGというワクチンでさらにこの100分の1程度に減らすことができま
す)。
■ 結核に感染して菌を胸にもっていても,一生結核とは縁がない人(発病しない人)
が90%以上なわけで,そのため発病すると「どうして私が結核に!」ということにな
り,びっくりするわけです。しかし,9割方の人の結核は,昔どこかでもらった菌が,
身体の抵抗力が落ちて暴れ出したもので,新しくもらったものではありません。
■ 身体の抵抗力の弱い乳幼児とか,仕事が忙しくストレスをためているような状態,
ねたきり,糖尿病などの成人病の管理が悪いような状況があると,発病しやすくなりま
す。
■ また,一度結核(「ろくまく」,「はいしんじゅん」などといわれている場合もあ
ります)になった人,あるいは胸のX線検査で「治ったあとがある」といわれたことが
ある人(過去に結核にかかったが,自然に治ったことを示します)は,発病しやすいの
で要注意です。
■ 平成7年1月から8月までに肺結核を発病した50人について調べてみますと,以
前に結核にかかったことのある人は31%,他の胸の病気を治療中に併発した人8%,
糖尿病や腎臓病,心臓病などの治療中に併発した人は44%で,身体の抵抗力を落とす
慢性の病気に注意する必要があることがわかります。
■ 結核が他人にうつるのは,結核を発病して,しかも咳などがひどく,結核菌が口か
ら外へ出ているときに限られます。たとえ,結核を発病しても,軽いうちに治療を開始
すれば,通院で治療するので,普通に生活し仕事もでき,他人にうつす心配もない場合
の方が多いのです。従って,早く見つけてきちんと治療すれば,他人への感染は防ぐこ
とができます。
■ 平成7年1月から8月までに肺結核を発病した50人のうち,健診を3年以上受け
なかったとか,治療を勝手にやめてしまったとか,風邪だと思い受診しなかったなどで,
残念ながら重症化してしまったり,家族や他人へ感染させてしまったりした場合(予防
可能例と言います)が,30%もあります。これらは健診をちゃんと受けたり,治療を
きちんと受けていれば予防できたものです。
■ 結核の予防は
1.健康づくりで身体の抵抗力をつくる
2.長引く「かぜ」は必ず医師へかかる
3.健診をきちんと受ける
ことが大切です。
ご質問ご相談は,保健所医師までお気軽に。